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個人情報漏洩とPHPの脆弱性に企業はどう対応すべきか? 不安を煽るセキュリティ営業にも注意

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2026年10月、企業の情報セキュリティ対策を考えるうえで、見過ごせない動きが続いています。国内企業における情報漏洩や不正アクセスへの注意喚起に加え、WebサイトやWebシステムで広く利用されているPHPについても、重大な脆弱性に関する情報が公表されました。

こうしたニュースを目にすると、「自社のホームページも危険なのではないか」「すぐに高額なセキュリティ対策を導入しなければならないのではないか」と不安になる経営者もいらっしゃるでしょう。

もちろん、セキュリティ対策を軽視することはできません。しかし、危険性を正しく理解しないまま、営業担当者の説明だけを頼りに高額な契約を結ぶことにも注意が必要です。

大切なのは、必要な対策を着実に実施しながら、自社のリスクに見合った費用をかけることです。

1.PHPの脆弱性とは何か? ホームページにも関係する問題です

PHPとは、WebサイトやWebシステムを動かすために広く利用されているプログラミング言語です。WordPressを利用したホームページなどでも使われています。

ソフトウェアに脆弱性があると、条件によっては第三者が不正な操作を行い、システムへの侵入、サイトの改ざん、情報の窃取などにつながる可能性があります。

2026年10月には、PHPについて2件の重大な脆弱性に関する注意喚起が公開されました。JPCERT/CCが10月22日に公表した情報では、対象となる脆弱性について、任意のコードが実行されるおそれがあるとされています。

ただし、ここで誤解してはいけないことがあります。

PHPの脆弱性が公表されたからといって、PHPを利用しているすべてのホームページが侵入されたわけではありません。

実際のリスクは、利用しているPHPのバージョン、サーバー環境、対象となる機能、修正プログラムの適用状況などによって異なります。

まずは、自社のホームページが影響を受ける環境なのか、サーバー会社や保守担当者に確認することが重要です。

2.企業が最初に取り組むべきセキュリティ対策

セキュリティ対策というと、専門的な監視サービスや高額なシステムを想像するかもしれません。しかし、まず確認すべきなのは、基本的な対策が適切に実施されているかどうかです。

① PHPやWordPressなどを適切に更新する

利用しているPHPのバージョンを確認し、対象となる場合は、提供元が案内する修正版への更新を検討します。

WordPress本体だけでなく、テーマやプラグインも更新対象です。ただし、更新によってサイトが正常に動作しなくなる可能性もあるため、バックアップや動作確認の手順を整えたうえで対応します。

サポートが終了した古いバージョンを使い続けている場合は、更新や移行の計画を立てる必要があります。

② 管理画面とアカウントを保護する

管理画面のパスワードを使い回さないこと、不要な管理者アカウントを削除すること、多要素認証を利用することも重要です。

特に、ホームページ制作会社や外部スタッフに管理権限を付与している場合は、誰がどの権限を持っているのかを定期的に確認しましょう。

③ バックアップを確保する

万が一、サイトが改ざんされたり、データが破損したりした場合に備え、バックアップを取得しておくことが大切です。

バックアップは取得するだけでは十分ではありません。必要なときに復元できるかどうかも確認しておきましょう。

④ サーバー会社の対応範囲を確認する

レンタルサーバーを利用している場合、サーバー会社がOSやサーバーソフトウェアなどの保守を担っていることがあります。

一方、WordPress本体、プラグイン、独自プログラムなど、利用者側で管理する部分もあります。

「サーバー会社が対策しているから、すべて安心」とも、「自社ですべて対応しなければならない」とも限りません。

どこまでがサーバー会社の対応範囲で、どこからが自社や制作会社の担当なのかを整理することが、無駄のない対策につながります。

3.ホームページに顧客情報がなければ安全なのでしょうか?

会社概要やサービス紹介を中心とするホームページでは、顧客情報を大量に保有していない場合もあります。

その場合、顧客データベースを持つECサイトなどとは、情報漏洩の影響範囲が異なる可能性があります。

しかし、顧客情報を保有していないからといって、セキュリティ対策が不要になるわけではありません。

サイトを改ざんされて偽の案内を掲載されたり、訪問者を不正なサイトへ誘導されたり、サーバーを攻撃の踏み台として利用されたりする可能性があるためです。

また、問い合わせフォームやアクセス解析、外部サービスとの連携などを利用していれば、想定していなかった情報が扱われている場合もあります。

重要なのは、漠然と危険を恐れることではなく、自社のサイトに何があり、何を守る必要があるのかを把握することです。

4.注意したい「不安を煽るセキュリティ営業」

セキュリティへの関心が高まると、それをきっかけに営業を受ける機会も増えるかもしれません。

セキュリティ診断や監視サービス、脆弱性対策、緊急対応など、企業を守るために役立つサービスは実際に存在します。

一方で、営業担当者から次のような説明を受けた場合は、契約を急がず、内容を確認することをおすすめします。

・「今すぐ契約しないと、確実に情報漏洩します」

・「このままでは会社の情報がすべて盗まれます」

・「当社のサービスを導入しなければ、もう対策できません」

・「本日中に契約しなければ対応できません」

こうした発言だけで、営業担当者が不適切な販売をしていると断定することはできません。実際に緊急性の高い脆弱性や被害が確認されている場合もあります。

しかし、具体的な根拠を示さずに危険性だけを強調し、契約を急がせる場合は注意が必要です。

本当に必要な対策であれば、少なくとも対象となるシステム、確認された問題、想定される影響、推奨する対策、費用の内訳などについて、合理的な説明を求められるはずです。

5.高額なセキュリティサービスを契約する前に確認したい5つのこと

営業提案を受けた場合は、次の5点を確認しましょう。

① 自社のサイトに実際の問題が確認されているのか

一般的な脆弱性の説明なのか、自社サイトを調査した結果なのかを区別します。

診断結果がある場合は、対象URLやシステム、確認日時、検出された問題などを確認しましょう。

② 既存のサーバーサービスで対応できないのか

レンタルサーバー会社が提供しているセキュリティ機能や、既存の保守契約に含まれる対応を確認します。

すでに利用しているサービスと重複する機能に、追加料金を払うことになる可能性もあります。

③ 何をどこまで対応してくれるのか

「セキュリティ対策一式」といった曖昧な説明だけで判断するのではなく、更新作業、脆弱性診断、監視、ログ確認、復旧支援など、具体的な作業内容を確認します。

④ 初期費用と継続費用はいくらなのか

初期費用だけでなく、月額費用、契約期間、更新費用、解約条件、障害発生時の追加料金も確認します。

⑤ 他の専門家に確認できるか

緊急の被害が確認されていない場合は、既存の制作会社やサーバー会社、別の専門業者にも意見を求めると、提案の必要性や費用の妥当性を判断しやすくなります。

ただし、実際に侵入の兆候がある場合や、修正プログラムの適用期限が迫っている場合は、比較検討に時間をかけすぎず、必要な緊急対応を優先してください。

6.セキュリティ対策は「高額であるほど安心」とは限りません

セキュリティ対策の目的は、高額なサービスを導入することではありません。自社にとって重要な情報やシステムを、適切な方法で守ることです。

例えば、会社案内を中心とする小規模なホームページと、顧客情報や決済情報を扱う大規模なECサイトでは、守るべき対象や必要な対策が異なります。

サイトの構成、保有情報、利用しているシステム、外部公開されている機能、事業への影響などを踏まえ、必要な対策を選ぶことが重要です。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、2026年3月に中小企業向けの情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版を公開し、同年9月にも関連資料を更新しています。基本的な対策やバックアップなど、企業が段階的に取り組むための情報が公開されています。

専門業者の提案を検討する際も、こうした公的な情報を判断材料の一つにするとよいでしょう。

まとめ|恐れるだけでなく、根拠を確認して必要な対策を

個人情報漏洩やPHPの脆弱性は、企業が真剣に向き合うべき問題です。

しかし、ニュースを見て不安になったからといって、すべての企業が直ちに高額なセキュリティサービスを導入しなければならないわけではありません。

まずは、利用しているシステムやPHPのバージョンを把握し、修正プログラムの適用状況、WordPressやプラグインの更新、管理画面の保護、バックアップ、サーバー会社の対応範囲を確認しましょう。

そのうえで不足している対策があれば、必要なものから実施します。

また、セキュリティサービスの営業を受けた際は、危険性を強調する言葉だけで判断せず、具体的な診断結果、対応範囲、費用、既存サービスとの重複を確認することが大切です。

セキュリティを軽視しないこと。そして、不安だけを理由に不要な支出をしないこと。

この2つを両立させることが、企業の情報資産を守りながら、健全な経営を続けるための基本です。

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