【2026年9月EC業界トピックス】
EC事業者のWeb集客において、これまでとは大きく異なる変化が起きています。
それは、AI検索対策を「何となく取り組む」のではなく、実際にAI検索で自社サイトがどの程度表示されているのかを計測し、改善できる環境が整い始めたことです。
これまでEC事業者の間では、「SEOはGoogle Search ConsoleやGoogle Analyticsで確認できますが、ChatGPTやGoogleのAI回答に自社サイトが引用されたかどうかは分かりにくい」という問題がありました。
しかし、2026年6月3日、GoogleはSearch Consoleに「検索の生成AIパフォーマンス レポート」を導入しました。そして8月31日には、これらのインサイトが世界中のすべてのウェブサイトに展開されたとGoogleが発表しています。
このレポートでは、Google検索のAI OverviewsやAI Modeなどの生成AI機能において、自社サイトのURLが表示された回数、表示されたページ、国、デバイス、日付などを確認できます。
つまり2026年9月は、EC事業者にとって「AI検索対策を始めるべきか」という段階から、「AI検索で実際にどのページが見られているのかを確認し、次の施策を考える」段階へ移ったタイミングと言えます。
Googleが明確に示した「AIO対策」の考え方
ここで重要なのは、Google自身が「AI OverviewsやAI Modeに表示されるための特別なSEO技術は必要ない」と明確に説明していることです。
Googleの公式ガイドでは、AI検索でも従来のSEOの基本的なベストプラクティスが有効であり、AI OverviewsやAI Modeに表示されるための追加要件や特別な最適化は存在しないと説明されています。
さらに、AI機能に掲載されるためには、通常のGoogle検索と同様に、ページがインデックスされ、検索結果に表示できる状態であることが基本条件とされています。
これはEC事業者にとって非常に重要なポイントです。
「AIに引用されるためだけの特殊な文章を書く」のではなく、
・検索エンジンが正しく理解できるサイト構造
・ユーザーにとって役立つ独自情報
・商品やサービスの具体的な説明
・専門性や実体験が分かる情報
・適切な内部リンク
・商品、画像、動画などの情報整備
といった、これまでのSEOの基本を高いレベルで実行することが、結果的にAI検索への対応にもつながります。
Googleは2026年5月に公開した生成AI向けの公式ガイドでも、「価値のある独自性のあるコンテンツ」を重視すると説明しています。また、ショッピング、ローカル、画像、動画などの情報を充実させることについても案内しています。
では「LLMO」は何をすればよいのでしょうか?
最近、EC業界でも「LLMO」という言葉を目にする機会が増えています。
LLMOは一般的に「Large Language Model Optimization」の略として使われ、ChatGPTやGeminiなどの生成AIが回答を作成するときに、自社の情報を理解・参照しやすくするための取り組みを指します。
ただし、ここでも注意が必要です。
LLMOという名称自体がGoogleの公式なランキング指標として定義されているわけではありません。
そのため、「LLMO専用の裏技がある」と考えるのは適切ではありません。
むしろ現在のECサイトに必要なのは、AIから見ても人間から見ても「この会社は何をしているのか」「この商品は誰に向いているのか」「なぜこの商品を選ぶべきなのか」が明確に理解できる情報設計です。
例えば「高品質なバッグです」とだけ書くのではなく、
「営業職がA4書類と13インチノートPCを毎日持ち運ぶ用途を想定しています」
「本革製品のため、使用開始直後よりも経年変化を楽しみたい方に適しています」
など、具体的な利用者、用途、特徴を明確にすることで、情報としての解像度が上がります。
これはSEOのためだけでも、LLMOのためだけでもありません。
人間が理解しやすい情報は、AIにとっても理解しやすい情報になる。
この考え方が、2026年9月時点では最も重要です。
AI検索の利用規模は、すでに「実験段階」を超えています
AI検索そのものも、もはや一部のユーザーだけが利用する新技術ではありません。
Googleは2026年6月、AI Overviewsの月間アクティブユーザーが25億人を超え、AI Modeも月間10億人を超えたと発表しています。
またGoogleは、AI検索によってユーザーがより複雑な質問を行うようになっていると説明しています。
従来であれば、
「革靴 おすすめ」
↓
「革靴 ビジネス メンズ」
↓
「革靴 雨に強い」
というように複数回検索していたユーザーが、
「雨の日にも使えて、営業職に向いている3万円以下の革靴を、耐久性と手入れのしやすさも含めて比較してください」
といった、一度で複数条件を含む質問をAIに投げるようになっています。
GoogleのAI Modeでは、このような複雑な検索に対して、複数の関連検索を組み合わせて回答を生成する「クエリ ファンアウト」という仕組みも利用されています。
これはEC事業者にとって非常に大きな変化です。
従来のSEOでは「1キーワード=1ページ」という考え方が比較的分かりやすいものでした。
しかしAI検索では、一つの質問の中に「価格」「用途」「性能」「対象者」「比較」といった複数の検索意図が含まれます。
そのため、商品ページだけではなく、比較記事、選び方、FAQ、導入事例、レビュー、使用方法など、サイト全体で情報を網羅しておくことが重要になります。
9月からEC事業者が確認すべき3つの数字
では、実際に何を確認すればよいのでしょうか。
2026年9月時点では、まず以下の3点を確認することをおすすめします。
① AI検索で表示されているページ
Search Consoleの生成AIパフォーマンス レポートを確認し、「どのページがAI検索に表示されているのか」を把握します。
トップページだけではなく、商品ページ、カテゴリページ、ブログ記事など、どのコンテンツがAIから評価されているのかを見ることが重要です。
② AI検索での表示が増えているか
一度表示されたかどうかだけを見るのではなく、週単位・月単位で推移を確認します。
Googleの新しいレポートでは、時間別、日別、週別、月別でデータを確認できます。
これにより、「記事を追加した後にAI検索での表示が増えたか」といった検証が可能になります。
③ AI経由のユーザーが購入につながっているか
ここが最も重要です。
AI検索への表示回数が増えても、売上につながらなければEC事業としての成果にはなりません。
GoogleもAI検索からのクリックについて、通常の検索結果よりもユーザーがサイト内で長く滞在するなど、より質の高いトラフィックになる傾向を説明しています。
したがって今後は、
「AI検索で表示されたか」
だけではなく、
「AI検索から訪問したユーザーが商品を見たか」
「問い合わせをしたか」
「購入したか」
「リピートしたか」
まで確認する必要があります。
これからのSEOは「順位」だけでは判断できません
これまでEC事業者がSEOの成果を見る際には、「検索順位」「アクセス数」「クリック数」が中心でした。
もちろん、これらの数字が重要であることに変わりはありません。
しかし2026年以降は、そこに新しい視点を加える必要があります。
「検索結果で何位だったか」だけではなく、「AIがどのページを回答の根拠として選んだか」です。
Google自身も、AI OverviewsやAI Modeでは検索インデックスを基盤として関連性の高いページを取得し、AIによる回答の根拠として利用すると説明しています。つまりAI検索とSEOは別々の世界ではなく、従来の検索品質・ランキングシステムの上にAI体験が構築されています。
そのため、「SEOを捨ててLLMOへ」という考え方は適切ではありません。
これからは、
SEO → AIO → LLMO
を別々の施策として考えるのではなく、
「検索エンジンにもAIにも、そして最終的には顧客にも正しく理解される情報資産を作る」
という一つの考え方で捉えることが重要になります。
2026年9月、EC事業者がやるべきこと
まずは、自社サイトがGoogle検索で正しくインデックスされているかを確認してください。
そのうえでSearch Consoleの生成AIパフォーマンス レポートを確認し、AI OverviewsやAI Modeで表示されているページを把握します。
次に、そのページを分析します。
「なぜこのページがAIに選ばれているのか」
「独自情報は何なのか」
「ユーザーの疑問に十分答えているか」
「商品・サービスの特徴が具体的に説明されているか」
「実際の利用者が判断できる情報が揃っているか」
を確認します。
そして、表示されていない重要ページについては、単純に文章量を増やすのではなく、独自性、具体性、専門性、一次情報を追加していきます。
2026年9月は、EC業界にとって「AI検索対策の本格的な計測元年」と言えるタイミングです。
これまでは「AIに自社サイトが引用されるかどうか分からない」という状態でした。
しかし現在は、Google自身がAI検索におけるサイトの可視性を確認するためのデータを提供し始めています。
これからのEC競争では、単純に検索順位を上げるだけではなく、
「検索される」
→「AIに理解される」
→「AIの回答に登場する」
→「サイトへ訪問される」
→「購入される」
という一連の顧客導線を設計できる企業が、より強い競争力を持つようになります。
SEO、AIO、LLMOは、それぞれ別々の新しい施策なのではありません。
最終的には、**「自社が持っている価値を、検索エンジン・AI・顧客に正確に伝えるための情報設計」**という一つのテーマに集約されていくでしょう。
2026年9月以降のEC戦略では、「何位にいるか」だけではなく、「AI時代に自社がどのように発見され、理解され、選ばれているか」を見ることが重要になっています。EC市場の競争は今後さらに激しくなることが予想されます。しかし、変化に合わせて情報発信やサイト運営を見直すことで、ユーザーからも生成AIからも信頼されるECサイトへと成長させることができます。2026年後半に向けて、今こそ自社サイトのコンテンツ戦略を見直してみてはいかがでしょうか。


