2020/07/28
福島の小売・サービス店様|脳科学を活用したビジネスサイエンス
目次
【マーケティングの成功にはシンプルな考えが一番役立つ!】
現代のマーケティングには、いろいろな手法があり、実に多様化しています。
しかし、いろいろな数字に向き合い、小難しい専門用語を勉強し、日々マーケティングについて考えたとしても、本質的な要素を理解できなければ、決してマーケティングで成功することはできません。
マーケティングの本質とは実にシンプルで、「収益をアップさせること」です。
収益をアップさせるには購入数を増やすことが重要なのですが、いつどんな時代になったとしても、購入するのは「人」です。
つまり、「人」に購入してもらえれば、収益をアップさせることが可能となるわけですが、一つだけ手っ取り早く解決する方法があります。
それは、『人を操れば良い』のです。
「いやいや、人なんて操れないでしょう」
「そんなことできっこない」
そんな声が聞こえてきそうですが、実は既に自分たちの身の回りで起きています。
いつも自分が買っている商品が、自分が買いたいから買っているのではなく、「誰の策略によって買わされるように仕組まれている」可能性だってあるのです。
今回は、人を操って収益をアップさせるビジネスサイエンスのメカニズムを、「脳科学」の視点からご紹介したいと思います!
【脳科学から紐解くビジネスサイエンス成功の秘訣】
「脳科学」と聞くと、難しく構えてしまいそうですが、そんなに難しいことではありません。
ビジネスサイエンスにおける脳科学とは、人がどのような脳のはたらきによって物を購入しているのかを明らかにするもの、という認識で問題ありません。
脳の働きを理解できれば、極端な話、大した魅力を持っていない商品でもたくさん売りさばくことが可能となります。
逆に、脳の働きを理解できていなければ、どんな魅力を持った商品であっても、全く売れないのです。
先ほどマーケティングの本質は「収益をアップさせること」だとお伝えしましたが、収益とは、以下の式で表すことができます。
収益=「購入数」×「顧客単価」
顧客単価は商品によって様々で、扱う商品によって自分で設定できますのでさほど重要ではありません。
よって、マーケティングで成功するために必要なのは、「購入数」を伸ばすこととなるわけです。
脳科学で考えた時、「購入数」を増やすために必要な脳の成分が2つ存在します。
一つは「アドレナリン」。いわゆる「興奮状態」ですね。
一度は聞いたことがある名前だと思います。
そしてもう一つは「セロトニン」。いわゆる「平常状態」です。
普段は平常状態を保たせるセロトニンが多く分泌されていますが、あることをきっかけにセロトニンの分泌が少なくなり、購入に対して衝動買いを引き起こさせることができるようになります。
一体、何がきっかけになるのでしょうか?
今回は具体例として、福島県郡山市にお店を構えるパン屋さんが、郡山市のソウルフード、クリームボックスの購入数をアップさせるためにいろいろと施策を練っていくとしましょう。
【クリームボックスの購入数をアップさせたいなら、セロトニン分泌を抑止して『不安』を利用すべし!】
それでは、具体的に購入数をアップさせるべく施策を考えていきましょう。
今回は、「郡山市の中で最もおいしいクリームボックスの商品開発に成功したパン屋さん」という設定で考えていきたいと思います。
クリームボックスは、郡山市に住む方であれば知らない人はいないくらい有名で、どこのパン屋さんでも購入することができるソウルフードです。
そのため、普通に売り出したところで簡単に購入数を伸ばすことができません。
商品を売るためには、平常心を司るセロトニンの分泌を少なくして、アドレナリンによる興奮状態を引き起こさせることが重要となります。
ではセロトニンの分泌を少なくするにはどうしたら良いのでしょうか?
答えは、『不安』にさせることです。
もしクリームボックスを注目させて売りたいのであれば、
「1日限定30個!」
というように、「急がないと買えないかもしれない」という不安心理を煽れば良いのです。
さらに、
「17時からの限定販売!」
と更なる限定要素を加えると、「17時にしか買えなくて、しかも先着30名だけ!」という不安に煽られ、たちまちパン屋さんは17時前になると賑やかになるわけです。
不安のないところに購買は起こりません。
お客様は当然自分の意志で買いたい!と思っているわけですが、実際にはパン屋さんの戦略によって「自分の意志で買いたいと思わせている」、つまり人を操っているのです。
【ビジネスサイエンスの手法は始めが肝心!機会数を増やすための施策も使おう!】
先ほどご紹介した方法は、郡山市で一番美味しいクリームボックスであれば、一度食べたら病みつきになり、放っておいても売れるようになるでしょう。
しかし始まりの段階の施策がしっかりしていれば、郡山市で一番ではないクリームボックスであっても購入数を伸ばすことができます。
ビジネスサイエンス手法においては始めが肝心であり、商品に触れる機会を増やす施策が重要になってきます。
というのも、購入数は以下の式が成り立っているからです。
購入数=「機会数」×「成約率」
つまり、機会数を増やすことは、購入数の増加に直結しているのです。
商品に触れる機会を増やすためには、『無料』の要素を使うと効果的です。
クリームボックスの場合、例えば試食でクリームボックスを無料に振る舞うのが効果的でしょう。
試食を実施することでクリームボックスに触れる機会を増やすことができますし、試食を目当てに来たお客様による売上アップも期待できるようになるのです。
試食をすることで多少の投資は必要となりますが、それ以上のリターンが見込めるので、まさに「海老で鯛を釣る戦法」だと言えるでしょう。
【クリームボックスのスタンプカードでお客様を離さない!】
他にもいろいろな方法がありますが、「クリームボックスのスタンプカード」も非常に有効です。
スタンプカードを作ることで、一定数貯まったら何かしらの特典を渡さなければいけないのですが、それ以上の利益を見込むことができます。
スタンプカードにより大きな収益を生むためのポイントは、「有効期限を作ること」です。
スタンプカードそのものの有効期限でも良いですが、クリームボックスは身近なものであるため、「最後の来店から1ヶ月有効」というように断続的に訪れてくれるような期限にして、お客様を離さないようにするのが良いでしょう。
スタンプカードに代表される施策は、「プロスペクト理論」と呼ばれ、『人は得するより損をする方が2倍心理的ダメージが大きい』という心理を利用したものです。
ある程度スタンプカードが貯まってくると、今まで貯めたスタンプを損したくないと思い、期限が切れないようにクリームボックスを買いに来てくれるのです。
一つ注意しなければいけないのは、スタンプカードが貯まった時の景品を渡したくないからと言って、50個や100個といった気が遠くなるような数を設定してはいけないということです。
あまりにもゴールが遠いと、途中で諦めてしまったり、達成した後に燃え尽きてしまって通うのを辞めてしまうというデメリットがあるからです。
できれば、ゴールまでの間にチェックポイントを設けて、継続的に頑張ってもらうように仕向けると、より成功率がアップするでしょう。
【ビジネスサイエンスの成功には、潜在的に「不安」を煽るのがポイント!】
ここまでいろいろな施策をご紹介してきましたが、どれも表向きには不安を煽っているようには見えません。
というのも、マーケティングにおける「不安」とは、見えている不安ではなく、見えていない不安、つまり潜在的なニーズを見越すことを指しているからです。
身の危険を感じている方が告白が上手くいく「吊り橋効果」があるように、人は平常を司るセロトニンの分泌が弱まっている時の方が衝動的な行動を取りやすいことが脳科学では明らかになっています。
人の脳の働きや心理というのは、昔も今も大して変わっておらず、マーケティングの本質を一番突いていると言っても過言ではありません。
ビジネスサイエンスを成功させるために、「脳科学」という視点からアプローチをかけてみるのも一つの大きな要素であると言えるでしょう!