2022/06/29

Google広告のアトリビューションモデルとは?基礎から運用方法まで解説

販売促進

WEB広告を運用するときに、欠かすことのできない媒体のひとつであるGoogle広告。

検索連動型広告やディスプレイ広告など、多様なアプローチにより多くのユーザーへ訴求することが可能で、売上への貢献が期待できます。

そして、Google広告の管理画面ではさまざまな指標を確認でき、広告の効果検証や分析ができるようになっています。

本記事では、Google広告が用意している仕組みのひとつであるアトリビューションモデルについて解説します。

アトリビューションモデルを理解すると、より効果的な広告運用ができるのでぜひ参考にしてください。

1)そもそもアトリビューションとは?

Google広告におけるアトリビューションモデルを理解するには、アトリビューション自体の理解が必要です。

アトリビューションとは、コンバージョンまでの各メディアの貢献度を測ることをさします。

たとえば、ユーザーが商品を購入するまでには、さまざまなメディアとの接触が考えられます。

SNSをはじめとするソーシャルメディアにおける接触や、オウンドメディアの記事、また検索連動型広告を通じたサービスLPでの訴求やディスプレイ広告による認知、またメールマガジンでのリレーションが挙げられます。

■アトリビューションの考え方が重要な理由

コンバージョンにおいてこれまでに重要視されていたのは、成果発生地点の施策でした。

しかし、近年は情報の多量化や多様化が進み、購買プロセスや意思決定プロセスが複雑化しています。

そこで、ユーザーがどのようなメディアに接触してきたかを可視化し、それらの要因を分析することで、コンバージョン効率を改善させていくことが重要になります。

具体的には、コンバージョンまでの経路の各施策・コンテンツ・プロモーション方法を新たに考えたり、それらの施策への広告費用の投下量を最適化させることにつなげることができます。

従来の成果発生地点のみの計測では、認知につながった広告や購買意欲を高めた広告や施策を評価することができない、または評価が低くなってしまいます。

それにより、実はコンバージョンに寄与していたはずの施策の停止や規模縮小につながってしまい、最終的に売上に悪影響を与えてしまうというケースが出てきてしまうのです。

アトリビューションの考え方を持っておくと、そのようなケースを避けることができるようになります。

2)アトリビューション分析を行わないほうがいいパターンとは?

アトリビューションは、経営やマーケティングにとって重要な考え方です。

しかし、アトリビューションを用いた分析に適さないパターンもあります。

まずアトリビューション分析に向いているのは、以下のような特徴を有している場合です。

・ユーザーの検討期間が長い商品やサービスを扱っている(高単価な商材など)

・ユーザーがコンバージョンに至るまでに複数のチャネルに接触している(広告やSNSなど)

アトリビューションレポートを確認した際に、従来のラストクリック(成果地点の貢献度)の数値とその他のモデルで差がある

つまり、逆の特徴を有している場合はアトリビューション分析に向いていないと言えます。

たとえば、コンバージョンまでにひとつの広告で完結してしまうようなシンプルな場合、また基本的に購入場所によって差がでない消費財などは、アトリビューション分析の結果が期待できない可能性が高いです。

3)Google広告のアトリビューションモデルとは?

さて、Google広告におけるアトリビューションモデルとは、Googleが提供する広告においてユーザーがコンバージョンに至るまでに接触した広告のそれぞれについて、コンバージョンへの貢献度を評価する仕組みのことです。

ユーザーのコンバージョン達成までにはひとつの広告だけでなく、複数の広告に接触している可能性があり、それらがコンバージョンに寄与していることが考えられます。

従来の評価指標は、コンバージョンに直接つながった広告が評価されていましたが、各広告の貢献度を数値として可視化することで、正確な広告の評価が可能になります。

たとえば、

(1)悩みや課題を検索した際の検索連動型広告による流入

(2)リマーケティング広告による再接触

(3)比較検討のためにサービス名での検索時に再び検索連動型広告による流入

を経てコンバージョンにつながった場合、アトリビューションモデルでの考え方や評価を行わないと、最終的なコンバージョンに至ったサービス名での検索連動型広告のみが評価されてしまいます。

たしかに、コンバージョンにつながったことは間違いはありませんが、悩みや課題を検索した際の流入でのサービス認知、またリマーケティング広告による興味度合い向上などもコンバージョンに貢献していると考えられます。

アトリビューションモデルを用いて、広告管理をより精微にすることで入札戦略の改善や、ユーザーに届きやすい広告運用が可能になります。

間接的にコンバージョン貢献をしている施策を把握できることによって、PDCAサイクルの精度が向上するのです。

4)アトリビューションモデルの種類

Google広告で利用可能なアトリビューションモデルは6種類あります。

その6種類とは「ラストクリック」「ファーストクリック」「線型」「減衰」

「接点ベース」「データドリブン」です。

つづいて、それぞれのアトリビューションモデルについて解説をします。

■ラストクリックとは?

ラストクリックとは、コンバージョンに至るまでで、最後にクリックされた広告やキーワードだけに貢献度が割り当てられるモデルです。

最終的にコンバージョンに貢献できたものを評価するため、費用対効果の算出がしやすいという特徴があります。

一方で、最後の広告以外のチャネルが評価されないために、ラストクリックの結果だけで運用を変えるとコンバージョンが低下してしまう可能性があります。

■ファーストクリックとは?

ファーストクリックとは、ラストクリックとは反対にコンバージョンに至るまでで最初にクリックされた広告やキーワードだけに貢献度が割り当てられるモデルです。

最初に接した広告ということは、サービスの認知につながっていると考えられ、その評価を可視化することできます。

■線形とは?

線形とは、コンバージョンに至るまでの広告全てに均等に貢献度が割り当てられるモデルです。

たとえば、コンバージョンに至ったユーザーがコンバージョンまでに「A」「B」「C」「D」「E」という5つの広告に接した場合、貢献度を100%とすると5つの広告それぞれに20%の貢献度があるということになります。

ユーザーの広告接触が増えているので、線形を用いることで効果的な接点が可視化できる一方で、均等な評価がされるために接点ごとの評価が難しいという特徴があります。

■減衰とは?

減衰とは、コンバージョンに至るまでのすべての広告を評価しつつも、直接的にコンバージョンにつながった広告により多くの貢献度が割り当てられるモデルです。

たとえば、コンバージョンに至ったユーザーがコンバージョンまでに「A」「B」「C」「D」という4つの広告に接した場合、順に「10%」「20%」「30%」「40%」と貢献度が割り当てられます。

複数広告の貢献度を評価できる一方で、コンバージョンに比重をおいて評価しているため慎重な分析ができるという特徴があります。

■接点ベースとは?

接点ベースとは、コンバージョンに至るまでの広告において、最初と最後の広告やキーワードにそれぞれ40%の貢献度を割り当て、それ以外の広告すべてに残りの20%分の貢献度が均等に割り当てられるモデルです。

たとえば、コンバージョンに至ったユーザーがコンバージョンまでに「A」「B」「C」「D」という4つの広告に接した場合、順に「40%」「10%」「10%」「40%」と貢献度が割り当てられます。

線形同様に、すべての広告に対して評価がされますが、ファーストクリックとラストクリックに貢献度が多く割り当てられるため、成果の入口と出口をバランス良く評価できるという特徴があります。

■データドリブンとは?

データドリブンとは、過去のデータに基づいて貢献度が割り当てられるモデルです。

これまでのモデルでは、貢献度の数値化が定形化されていますが、データドリブンの場合はアカウントに蓄積されたデータを基に貢献度が計測されて可視化されます。

そのため、データドリブンの利用にはデータが蓄積されている必要があり、具体的には以下の要件が必要な場合があります。

・サポート対象ネットワークで 30 日以内に 300 回以上のコンバージョン

・3,000 回以上の広告インタラクションが必要

また、過去30日間で

・過去 30 日間でサポート対象ネットワークでの広告インタラクション数が 2,000 回未満に減少

・コンバージョンアクションのコンバージョンが 200 回未満

という状況になった場合は、データドリブンの利用継続が不可となってしまうので注意が必要です。

5)Google広告でアトリビューションモデルを設定する方法は?

Google広告を運用中で、コンバージョンアクションを作成済みであれば、アトリビューションモデルの設定は簡単に行うことが可能です。

まず、Google広告の管理画面にログインします。

管理画面上部の「ツール」をクリックするとメニューが表示されるので、「測定」欄にある「コンバージョン」をクリックします。

「コンバージョン」ページに遷移すると、作成済みのコンバージョンアクションが表示されるので、アトリビューションモデルを設定したいコンバージョンアクションを選択します。

コンバージョンアクションの設定ページに遷移するので、「アトリビューションモデル」欄内より、プルダウンメニューより新たに設定したいアトリビューションモデルを選択し、保存ボタンをクリック。

最後に、ページ下部にある完了ボタンをクリックすることで設定終了です。

■コンバージョンアクションが未作成の場合

また、コンバージョンアクションが未作成の場合は、コンバージョンアクションの作成からはじめる必要があります。

「コンバージョン」ページに遷移した際、左上にある「+」ボタンをクリックします。

「新しいコンバージョンアクション」作成ページに遷移するので、まずは計測したいコンバージョンの種類を選択します。

コンバージョンの種類は、「ウェブサイト」「アプリ」「電話件数」「インポート」があるので、自社サービスに合わせた種類を選択します。

その後、コンバージョンアクションのカテゴリを選択のうえで、任意のコンバージョンアクション名を入力。
入力後、コンバージョン自体の価値の割り当てやクリックなどのカウント方法など、メニューに沿って設定を進めます。

最後に「アトリビューションモデル」欄があるので、任意のアトリビューションモデルを選択したうえでページ下部の「作成して続行」をクリックして完了です。

6)アトリビューションモデルの中で最適なモデルは?

上述の通り、アトリビューションモデルには6つの種類がありますが、自社の広告運用においてどのアトリビューションモデルを適用すればいいのでしょうか。

結論から言うと、「成長志向」か「慎重志向」なのか、自社の成長戦略によって異なります。

「成長志向」の場合は、ユーザーへの認知拡大や接点拡大が重要ですので、ファーストクリックや、次点では接点ベースが適しているといえます。
逆に「慎重志向」の場合は費用対効果がわかりやすいラストクリックや、次点では減衰が適しているでしょう。

そして、その中間となるのが線形となります。

データドリブンはこれまでの掲載結果によって分析が可能になるため、投資対効果を向上させるのにおすすめです。

7)まとめ

事業拡大のためには、さまざまなマーケティング施策が欠かせません。

マーケティング活動は有益な効果が期待できますが、効率的な施策運用を進めるには定量的なデータ分析が重要になってきます。

マーケティング施策の多様化が進み、競合も施策を進める中で重要なのは自社でもしっかりとデータドリブンなマーケティング活動をすすめることです。

アトリビューションの考え方は、まさしくデータドリブンなマーケティング活動の一助となります。

そして、主流なWEB広告であるGoogle広告でもアトリビューション分析を簡単にはじめることができます。

効率的な広告運用を行うために、コンバージョンにいたるまでの貢献度を把握、分析し進めていくことをおすすめします。






記事執筆:
ECサポート株式会社 代表 高橋 猛(たかはしたけし)
1973年生まれ 福島県郡山市出身
広告会社で10年間、主に住宅・自動車・サービス関連のグラフィックデザインに従事した後、学校法人 新潟総合学院(現FSGカレッジリーグ)教員として16年間、福島県内の広告・Web業界の人材育成を行う。現在はECサポート株式会社 代表取締役社長として、福島県内企業のWeb・ECコンサルタントとして活動中。

関連記事

おすすめ記事