2021/01/22

現代アートと現代ビジネスの共通点について考える

Blog

デザインやアートに興味のある方であれば、ご存知の1917年マルセルデュシャン作「泉」。いまさら解説するまでもないのですが、ご存知ない方のために簡単に紹介します。

これは、1917年ニューヨークで開催されたSociety of Independent Artists主催ニューヨーク・アンデパンダン展に、博覧会委員長であるデュシャンが”R.Mutt”として出品。誰でも作品を出品できる規則であったにもかかわらず、協会はこの作品を許可しませんでした。デュシャンは、この決定を不服として委員長を辞任いたしました。

この作品はいまや、「芸術の概念や制度自体を問い直す作品として、現代アートの出発点である」として、一部の研究家から20世紀を代表する作品とみなされています。

現代アートと現代社会について

美術史において、現代アートとは第二次世界大戦後1950年〜2010年までの美術をさしています。19世紀以前の芸術家はパトロンのために物語を描くことが多かったが、この19世紀後半からは個人の視点や意見を描くように表現が変化してきました。

現代アートの考え方から見て、クライアントのために物語を描くことは結果に繋がらないということを、デザイナーを目指す若きクリエーターに理解して欲しい。美術でいう結果とは共感であり、ビジネスでいう結果も同じく共感です。

同じく、福島県内のビジネス経営者も「売る」ことではなく「共感」を得るという本質を見極めることに主眼を置いて欲しいと思います。

既成は見るな!規制をみろ!

デュシャンの行為は、政治や社会に全て反発したかった訳ではありません。「自由応募」という規制の中において「自由が通らない」ことへ提唱したものです。
いまの社会も、自由競争の時代ですが、それぞれの場面で一定の規制があります。福島県の経営者、若きデザイナー、またはコンサルタントを目指す方に言いたいことは「既成」ではなく「規制」において可能な限り自由で新しい伝達手法を見出して欲しいということです。

・なぜそのような商品ラインナップなのか?

・なぜそのようなサービス内容なのか?

・なぜそのような販売価格(仕入原価)なのか?

・なぜそのような販売方法(販売チャネル)なのか?

・なぜそのような組織体制(人員体制)なのか?

「コンセプトと表現」は本当に合っているか?

現代アート作家と同様、社会に対しての意見が「企業コンセプト」です。

何をどうしたいのか?

何をどうすべきだと考えるのか?

これらの「企業意見」を「企業コンセプト」とした時に、社会が共感できるかどうか、感動するかどうか、一緒に行動したいと思ってもらえるかどうか。ということになります。
 しかし、「お客様が来ない」「求人に応募がない」という場合にはコンセプトが社会ニーズに合っていないということになりますので、素直に考え直さなければなりません。

福島県の経営者でも「コンセプトって何?」という方は意外に多いのも事実です。美術やデザインの用語をビジネスに応用したものですから、知らなくても不思議ではありません。それよりも「コンセプト」と「テーマ」が混在して理解してしまっている企業も意外に多いですね。これを読んでいるあなたが、もし社長であれば社員に対して当社のコンセプトとテーマは?と訪ねてみてください。


当社のコンセプトは「○○○○○!」テーマは「○○○○○!」です

このように言えた方の割合と、顧客の割合は大抵比例しています。
福島県の多くの企業の場合はですと、以下のようになります。

1位 コンセプトもテーマを設定していない

2位 コンセプトとテーマが合っていない

3位 コンセプトを外部発信していない

この状態では、どんなに良い商品でもお客様が増えるはずがありません。
モノやサービスの情報がネット直ぐに手に入る時代において、消費生活者は「地元福島を見ていない」という現象がある中、(絶対的地位の差別化商品を除き)発信しないという選択肢はありません。

心が届かない表現は無意味

福島県のフリーペーパー、折込チラシ、SNSなど毎回同じコンテンツを繰り返し発信しているケースが99.99%です。誰が見てもクーポンやセールなどの損得でしか心は動きませんね。具合的な修正策として、表現手法において媒体には問題が無く、問題はコンテンツそのものということになります。

広告部数や出稿回数を多くすれば微増はあり得るかもしれませんが、広告業界で長く実践経験をしたてきた私の意見としては、費用対効果の面でもこれは得策ではありません。






記事執筆:
ECサポート株式会社 代表 高橋 猛(たかはしたけし)
1973年生まれ 福島県郡山市出身
広告会社で10年間、主に住宅・自動車・サービス関連のグラフィックデザインに従事した後、学校法人 新潟総合学院(現FSGカレッジリーグ)教員として16年間、福島県内の広告・Web業界の人材育成を行う。現在はECサポート株式会社 代表取締役社長として、福島県内企業のWeb・ECコンサルタントとして活動中。




関連記事

おすすめ記事